新たな「何か」を求めて 藤野へGO!
2022/01/18

神奈川県の最北西端にあり、東京都と山梨県にはさまれた緑豊かな「藤野地区」。車では中央自動車道、電車ではJR中央線があり、都心から約1時間で行けることから〝都心から一番近い里山〟を掲げています。この藤野地区で収獲体験から間伐、移住体験と様々なコンテンツが人気を集めている「藤野里山体験ツアー」について、一般社団法人藤野観光協会の佐藤鉄郎さんに話を聞きました。
―はじめまして。藤野地区に初めて来ましたが、大自然に囲まれているという感じですね。
良いところでしょ?「藤野15名山」と呼ばれる山やこの地に生息する希少種の動物や植物など、自然の恵みが沢山あります。この自然豊かな環境に、人が上手く入り込むことで、さらなる魅力を創造しているのが、藤野地区です。
実際、私自身も16年前にこうした環境をもとめて移住してきた一人です。


―佐藤さんも藤野地区に魅了された一人だったのですね。実施されている「藤野里山体験ツアー」が毎回、定員いっぱいになると聞きました。
そうなんです。当初から都内の方の参加が多く、里山体験という「非日常」を求めて、多くの若年層ファミリーに参加いただいてますね。新型コロナウイルス感染症の対策もありますので、募集人数は以前よりも若干減らしていますが、おかげさまで今も人気の企画として継続しています。
―藤野里山体験ツアーには、どんなアクティビティがあるのですか?
家庭菜園の体験講座から自然農園での野菜収穫、うどん作りや川遊び、釣り、焚き火と自然を満喫する時間を体験できます。



―普段はなかなか出来なさそうな自然を楽しむ感じですね。
そうですね。ただ、どのアクティビティも、藤野の暮らしでは「当たり前」なんですよ。農村地域ですから、野菜の生産も当たり前ですし、水田地域ではなく小麦栽培が盛んなので、昔から手打ちうどんが主食のメインであり、うどん作りもごく普通の事なのです。
遊びに対しても同じで、自然の川では釣りをやったり、焚き火をしたりと、これも普通のことですね。
―なるほど~。
都内の方や横浜近郊といった便利な「都会暮らし」をされている方にとっては、藤野地区の日常が「非日常」になるんですよね。来られた方は子どもも大人も喜んで帰られますよ。
―そもそも藤野里山体験ツアーを実施するきっかけは、なんだったんですか?
目指すゴールは「移住促進」ですね。地域の方と一緒に協議した結果、「藤野が好き、藤野で何かをやりたい人に来てもらいたい」という話でまとまりました。
でも、いきなり移住するのはハードルが高い。そこで、まずは(藤野地区の)関係人口を増やそうと考えたのが藤野里山体験ツアーの始まりです。
―たしかに、土地柄を知らないまま引っ越しをするのは、なかなか出来ないですね。
そうですよね。ですので、「体験」に価値をおいて、ツアーを組んでみました。
単なる体験ツアーではなく、藤野で暮らしている人たちと交流してもらうというのが藤野里山体験ツアーの「こだわり」です。


―藤野で暮らしている人というと?
農家さんや飲食店の自営業者、クラフト作家など、10軒程度が受け入れ施設として活動してくれています。
藤野で普通に生活をしている人と色んな話をし、藤野を好きになってもらう。それが、私たちが運営している藤野里山体験ツアーのねらいですね。
―ただの体験観光で終わらないという感じですね。
「交流」というのがキーワードです。藤野は「人」も魅力的ですので、沢山の人に会ってもらいたいと思います。
面白いのは、参加者同士もつながりができて、皆仲良くなるところ。昔からの知り合いのように和気あいあいとツアーを楽しんでもらっています。
コロナ禍前は外国人の参加者も多く、「里山暮らしこそが日本の原点」なんて言ってもらえたりしましたね。
―実際に、ゴールとしている「移住者の増加」については、どうですか?
この事業の成果だけではありませんが、年間100から150件ほどの問合せがあり、その10~15%ほどが実際に移住してきています。ただ、これは私どもに問合せがあるのが前提の数字なので、実際の移住者はもっと多いと思いますよ。
―しっかりと魅力が伝わっていますね。
プログラムの中には移住希望者向けの「移住体験ツアー」があり、買い物や医療などの生活情報の紹介から、実際に住める物件情報の紹介、移住経験者の話を聞くことができます。メリットもデメリットも何でも伝えます。たとえば、虫がでるとか寒いとかですね(笑)。
また、当初の想像と違ったことは、シニア世代の移住者が多いと思っていましたが、若い人が多いということですね。
リモートワークの普及によって会社に毎日行かなくても良くなったことや、子どもたちの教育環境などを求めて来られる方が多いですね。新規農業者や起業者らも多く、コロナ禍ではそれまで以上に拍車がかかっているように思えます。


―移住体験を含めて、藤野里山体験ツアーは色んな影響をもたらしているんですね。
学校の教育プログラムの一環や、自動車企業による「車のある暮らし」というコラボ体験なども企画しています。教科書や普段の生活では得られない「体験」こそが、人を惹きつける魅力になっているんだと思います。
―「百聞は〝一体験〟にしかず」ですね。最後に読者の方にPRをお願いします。
藤野というまちは、山あり川あり、農業あり、芸術あり、良い人ありの地域です。人口の約4%(300人ほど)が芸術家で、「芸術のまち藤野」と呼ばれたりもします。アート体験を楽しめる施設もありますよ。
今のオートマティックに囲まれた便利な暮らしも良いと思いますが、ぜひ一度、藤野に遊びにきてください。これまで見えなかった「新しい発見」があるはずです。

【情報】
藤野里山体験ツアーHP https://www.fujinotaiken.com/
藤野観光協会HP https://info-fujino.com/